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  06 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「ナインリーブスのラム蒸留所を訪れる」

 フェスの翌日はいつもそうだが、体は疲れているのに神経が異常に高ぶっているせいか、やはり6時前に眼がさめてしまう。それでも朝食の時間を一時間ほど遅らせ、8時半から朝食。昨日も今日もご飯を2杯も食べてしまったが、明らかに食べすぎ。食べたとたんに眠くなってしまった。

 部屋にもどり、ウトウトしていたところに読売新聞経済部のKさんから電話取材。昨年も一度スコ文研で取材を受けているが、今回はジャパニーズウイスキーにしぼり、今の現状をお伝えする。その後11時にチェックアウトし、駅のカフェでコーヒーを飲んだあと、12時すぎの電車で滋賀県大津市の石山駅へ。

 京都に来たついでにラムのナインリーブスを取材しようと思ったためで、てっきり琵琶湖のほとりにあると思っていたのだが、地図を見ると湖の南、瀬田川右岸の山の中にある。

 すっかり忘れていたが膳所や石山、瀬田川という地名が妙に懐かしいと思って、タクシーの運転手さんに聞いたら(ナインリーブスは石山駅からタクシーで15~20分くらいの所にある)、石山にある石山寺は紫式部で有名で、膳所や岩間寺は松尾芭蕉で有名だとか。

 なんと膳所の義仲寺には芭蕉の墓があり、ナインリーブスの近くの岩間寺は、かの有名な、「古池や蛙とび込む水の音」という句を読んだ場所だという。40年以上も前に、大学で松尾芭蕉のゼミを取っていた私としては、懐かしくて当然の場所だったのだ。まさか40年後に、ウイスキー関連で芭蕉ゆかりの地を訪れるとは、思ってもいなかった。

 そんな話をしながら、1時半にナインリーブスに到着。わざわざPR・マーケティングを担当しているラグランジェという会社(東京)から、担当者のEさんが駆けつけてくれていた。

 さっそく創業者で、たった一人で蒸留所を切り盛りしている竹内さんに案内されて、まず最初に仕込水が湧き出る抗道入口に案内される。この水は「岩深水(いわしみず)」というミネラル水にもなっているが、硬度12という超軟水である。その水が湧き出るのは、井上鉱業という会社が、長石(井上長石)を掘り出すために掘った抗道の地下深くから湧き出るという。長石は花崗岩の一種で、砕いて焼き物の土として利用されるのだとか。今は中国産が安く手に入るので、日本ではあまり掘ることはなくなったが、有名な陶工は日本産にこだわり、今でもこの長石を使っているという。

 いずれにしろ、水は長い年月をかけて花崗岩で磨かれた超軟水で、この水はわざわざ京都のカフェなどがコーヒーやお茶用にと、汲みにくるほどだという。竹内さんが、この地にラムの蒸留所をつくろうと思ったのは、原料の手に入れやすさや、交通の便(竹内さんは名古屋在住)ではなく、この水との出会いがあったからこそという。

 その後、再び蒸留所にもどり。製造の説明を受けたが、詳しいことは次号の『ウイスキー通信』で紹介する予定だ。見学後にニューポットと、製品4種をテイスティングさせてもらったが、実に面白い!こんなラムが日本で、しかもサトウキビとは縁もゆかりもない滋賀県の山奥で造られているというのは、驚き以外の何ものでもない。まさしく“ワンダー・オブ・スピリッツ”だ。

 ナインリーブスが海外で賞をとり、一躍注目される存在になったというのもうなづける。海外人気が高く、日本市場にあまり出回らないのは少々残念だが、これはウイスキーファンも知るべきラムだという思いを強くした。ということで、さっそく6月5日の大阪フェスで、セミナーを依頼し、快諾もいただいた。ちなみにナインリーブスというのは9枚の竹の葉のことで、竹内家の家紋なのだとか。

 そういえば昨夜、打上げの場所に偶然一緒にいた本坊酒造の竹平さんにも、新しく津貫にできる蒸留所についてセミナーをやってもらうことになったので、これでますます大阪フェスは面白くなりそうだ。


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