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  07 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「3度目のカバラン蒸留所訪問記」

 2日の月曜日から3日間台湾に行っていた。目的はもちろんカバラン蒸留所の取材で、その詳細は11月29日発売の『Whisky World』12月号で掲載予定だ。

 月曜日は昼便で羽田から台北に飛び、その日の夜は台北101の87階のレストランで食事。今回の旅はカバランを日本に輸入している雄山、販売元の三陽物産の人達も一緒で、夜は全員で会食となった。あいにく土砂降りの雨で、台北101からの夜景は楽しめなかったが、台湾料理の数々を楽しんだ。

 夕食後はすぐ近くのマルサリスホテルの3階にあるバーへ日本人だけで立ち寄る。ここはスコッチ・モルトウイスキー・ソサエティ(SMWS)の台湾支部のあるバーで、前回(2012年)の取材の時にも行っている。アードベッグ10年をいただいたが、とにかくその量にびっくり。ここでの一杯は45mlあり、日本のバーの1.5倍だ。

 台湾は世界でも特殊なマーケットで、スコッチ全体の中で、シングルモルトが70%を占めている。つまり、スコッチのブレンデッドよりシングルモルトのほうが2倍以上を飲まれているのだ。世界全体で見た場合、シングルモルトは11%にしかすぎず、89%がブレンデッドだというのにだ。

 ちなみに韓国は99%以上がブレンデッドで、シングルモルトは1%にも満たない。台北のバーに行ってみると、そのへんの事情がなんとなく分かる気がする、

 昨日の3日は朝8時半にホテルを出て、カバランのスタッフが用意した車で一路カバラン蒸留所へ。相変わらずの土砂降りの雨で、まるで台風みたいだが、途中アジア一番長いという雪山トンネル(13km)を抜け、1時間ちょいで蒸留所に到着。

 カバランを取材するのは今回が3度目だが、さっそく蒸留責任者のイアン・チャン氏の出迎えを受け、蒸留所を見て回る。前回、前々回と大きく違うところは、スチルが新たに6基増設され、さらにウェアハウスも第2熟成庫が完成し、キャパシティーが倍以上になっていることだ。

 モルトウイスキーを造るフォーサイス製のスチルはこれで計10基になったことになる。従来からあるB系のホルスタイン型スチルでもはやモルトウイスキーを造ることはなく、現在はこれでジンを造っているという。結局B系のホルスタイン型のモルトウイスキーは2008年から2年間だけしか造られなかったことになる。

 ジンのボタニカルについてもイワンさんから教えてもらったが、そのジンの販売は来年の3月からだ。これだけでも驚いたが、今回さらに驚かされたが、第3蒸留棟の建設だ。ウェアハウスの5階の窓から、その工事の様子を見ることができたが、ここにはさらにフォーサイス製のポットスチルが新たに10基入るという。つまり、来年の暮れにはポットスチルが20基、年間生産能力900万リットルを誇る、アジア最大の蒸留所が誕生することになるのだ。

 今回初めてウェアハウスの5階のダンネージ式を見せてもらったが(それ以外の階はパラタイズ式)、さらにサプライズは、そことは別の場所で5つのシェリー樽原酒を樽からテイスティングさせてもらったことだ。フィノ、マンサマージャ、アモンテリャード、モスカテル、ペドロヒメネスの5種類で、どれも2010年蒸留。いわゆるウイスキー樽ではなく、ボデガのソレラに組み込まれていた正真正銘のシェリー樽で、おそらくボデガで何十年と使い続けられた樽なのだろう。バットより一回り大きい、600リットルくらいのサイズかと思われる。

 どれも、もちろん美味だったが、ビッグサプライズが最後に待っていた。それは私の訪問を記念して、その5つの樽すべてに日付と私のサインを入れてほしいとの申し出だった。大変名誉なことなので、喜んで引き受けた。できることなら、その5樽すべてを買いたいところだが、そればかりは叶わぬ夢だろう・・・。

 それにしても、カバランは大躍進をとげていると、今回改めてそう思った。ランチと夜のディナーをご一緒した金車グループ(カバランのオーナー)のリー社長によると、すでにカバランウイスキーは世界の38カ国に輸出され、あらゆる賞を総ナメにしているという。創業(2006年)わずか10年足らずで、獲得したメダルは200近いというのだ。

 とにかく売れに売れているという印象を強くした。そのための相次ぐ増産なのだが、この勢いなら、ひょっとして将来的に“世界6大ウイスキー”と呼ばれる日が、本当に来るのかもしれない。特に今回飲んだシェリー樽原酒の味が素晴らしい。熟成5年でこの味が造れるというのはカバランの最大の長所で、それは世界のウイスキーメーカーにとっても脅威だろうと、改めて思った。

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