1
2
4
5
7
8
10
11
12
13
14
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
  08 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

検索フォーム
QRコード
QR

 

「阪神淡路大震災から20年…」

 早いもので阪神淡路大震災から、今日で丸20年。20年前の1月17日は、朝からテレビにクギづけになっていた。まだイギリスから帰国して2年。練馬区の北区に住んでいる頃で、当時は自宅でフリーライターとして日々執筆を続けていた。

 前年の94年に私の処女作である『イギリスカントリー四季物語』(東京書籍)が出たばかりで、ちょうどその続編である『イギリスカントリー紀行』を書いている最中であった。

 95年は春にその本を上梓し、ついで『紅茶のある風景』(駿台曜々社)を書き、そして暮れに小学館から『モルトウイスキー大全』を出版した。私にとっても、ターニングポイントとなった年で、3月下旬にそれまで住みなれた東京を離れて、一家で神奈川県の茅ヶ崎に引っ越した。

 地震や、さらに3月に起きた地下鉄サリン事件も引っ越しを決断した理由だったが、できれば自然が豊かな郊外に移り住みたいというのが、最大の理由だった。もちろん、娘の教育のこともあるが、イギリスの田園で暮らした5年間の体験が、大きく考え方を変えたのかもしれない。それにしても、あれからもう20年とは…。

 そんなことを思いながら、しかし昼すぎから再びワールドの校正、そして次号の『ウイスキー通信』の台割り、内容について案を巡らす。考えてみれば、当時は今のようにウイスキー1本で食べて行くとは思ってもいなかった。ウイスキーは私のイギリス関係のテーマの1つであり、どちらかというとイギリスのカントリーライフ、ナショナルトラントを中心とした環境保護、そして釣りをメインのテーマとしていた。

 その頃の私の夢は、もう一度チベットにもどることと、世界中を釣りして歩きたいということだった。それが95年に上梓した『モルトウイスキー大全』で、大きく変わってしまった。そのことがきっかけで、当時のソニーファミリークラブから大きな仕事が舞い込み、やがてテレビのドキュメント番組にも出演するようになった。97年、98年、99年と立て続けにNHKのBS放送に出させてもらった。

 イギリスのキューガーデンから2時間半の生中継、アイルランドをぐるりと一周するパブ巡りの旅、そして南アフリカ、ジンバブエ、ザンビアまでの2時間の旅番組。すべては『モルトウイスキー大全』が、きっかけだったように思う。

 阪神大震災では、神戸の仲間を失ったことも大きい。当時、赤坂の『ホワイエ』で、月イチのモルトの会をやっていた。もともと『モルト大全』は、その会の資料用にと、私がコツコツと書きためた講義用テキストが元になっている。94年1月に始まったそのモルトの会は、96年まで丸2年半近く続いたが、スコッチ文化研究所設立時の代表世話人は、ほとんどがその時のメンバーである。

 その会に、神戸の酒屋の主人が参加していた。30代半ばのまだ若い男性だったが、「これからはシングルモルトの時代。ぜひシングルモルトを学びたい」と、わざわざ新幹線で月に1度東京に出てきていた。彼が震災で亡くなったと聞いたのは、1週間くらい後のことだった。まさにこれからという時の、無念の死であった。

 私が講義用テキストを一冊の本にまとめ出版しようと思ったのは、そのこともあったかもしれない。彼だけでなく、月イチのそのモルト会に、噂を聞きつけて、わざわざ全国から駆けつけてくれる人が大勢いる。そうした人たちのためにも、シングルモルトの全蒸溜所を網羅した本を出すべきだと思ったのだ。

 あれから、もう20年、いや、ようやく20年かもしれない。その間にウイスキー関連の本を20冊近く書いてきた。本離れが叫ばれる今の時代。本以外の新たな方策を見つける工夫もしなければならない。次なる20年に向けて…。

150117_1.jpg


150117_2.jpg


150117_3.jpg

スポンサーサイト



* ウイスキー文化研究所公式HP
* ウイスキー文化研究所公式twitter