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  08 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「山崎蒸溜所のスチル4基増設、見学会」
 朝10時すぎの新幹線で山崎へ。1時ちょいに蒸留所につき、1時40分から山崎蒸溜所のポットスチル4基増設のプレスお披露目会に出席。関西だけでなく、東京からも多くのテレビ、新聞、雑誌、業界紙などがつめかけている。

 白州の連続式蒸留機につぐ、生産設備の増強だが、山崎がポットスチルを増設するのは1968年以来、実に45年ぶりになるという。1923年の創業だから、90年におよぶ歴史の、ちょうど半分にあたる節目の年ということかもしれない。

 山崎には現在初留が6基、再留6基の計12基のスチルがあるが、これで初留8基、再留8基の計16基ということになる。もちろん、これは国内最大だ。

 見学前の工場長の説明で、「創業当時の国産1号釜の形状にヒントを得た」という発言が面白かった。つまりこれは“原点回帰”。初代工場長の竹鶴政孝が設計し、渡辺鉄工所につくらせた1号機は、現在山崎の庭に展示されている。これは再留釜のほうで、初留釜は写真でしか見ることができないというが、どちらも、この1号機を参考にしたシェイプになっているというのだ。

 これは後で、チーフブレンダーの福與さんに聞いた話だが、そのアイデアを思いついたのは福與さんだという。「ブレンダー室がある建物の出入口に置いてあるので、毎日、朝夕に見かけていた。それでふと、この形を再現したらどうなるのかと思いついた…」という。

 このところの山崎のポットスチルはスコッチタイプというか、実際スコットランドのフォーサイス社製などが多かったが、今回はそれもあって、日本の三宅製作所にお願いしたという。もちろん原点回帰ということもあるが、メンテナンスのことを考えると、日本のメーカーのほうが便利だし、スチル製造の伝統を継承してもらいたかったともいう。単に増産のことだけでなく、日本のウイスキー造りの将来も見据えているところが、さすがサントリーである。

 その後、実際にスチルを見学させてもらったが、初留2基はまったく同型同サイズで、こちらはどちらも直火焚き。再留はそれぞれストレートヘッドとバルジで、シェイプが異なっていて、加熱もスチームによる間接加熱だ。冷却装置は、4基ともシェル&チューブの室内コンデンサー。ワームタブ方式にしなかったのは、「そもそもスペースがない」ということだった。

 見学後、4種のテイスティングをし、その後4時から雑誌『東京人』のスペシャル企画で、福與さんと対談。改めて今回のスチルの増設や現在の山崎の造り、ジャパニーズウイスキーとは何かについてなど、話を伺った。福與さんにインタビューするのは、白州、山崎のノンエイジの新商品が出たとき以来だから、1年ぶり以上となる。

 今年は山崎誕生90周年という記念の年だったが、私には来たるべき10年後の100周年に向けての布石にも思えた。白州のグレーンといい、山崎のポットスチルといい、ますます原酒の多彩さに磨きがかかり、そしてそれらの多彩な原酒を駆使して、100年という集大成のウイスキーを完成させる…。そのブレンドを担うのは、まさに現在チーフブレンダ―を務める福與さんをおいて、他にはいないだろう。

 オリンピックといい、100周年といい、未来にはワクワクするような出来事が待っていることを、対談を通して確信させられた。もっとも、その頃には私は66歳、69歳になっているのだが…。
そんなことを考えながら、帰りの新幹線の中では爆睡。夏の疲れがどっと出ている…。

山崎ニュースチル2

山崎ニュースチル
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