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  11 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「通信のテイスティング6種」
 今朝も4時すぎに起床。『ウイスキー通信』の校正作業と、世界のウイスキーニュースの原稿、次号ワールドのラインナップについて。巻頭のバーボン特集については、ほぼ企画がかたまったが、前々号から始まった“ボトラーズ特集”のラインナップについて決定してしまう。5月3日から2週間スコットランドに行ってしまうため、すべての編集作業をそれまでに終了させる必要がある。そのため通信とワールド、2冊同時進行という状態になっている…。

 今日は昼過ぎから通信恒例のテイスティング座談会があるため、11時すぎにスコ文研に行き、事務仕事。次号ワールドのテイスティングボトル18本についてもリストを作り、最終決定。これも、いつもより半月近く早い進行だ。ボトラーズ特集も含め、大阪にその旨連絡。早めに台割表を作ってもらう。

 1時半から、通信テイスティング。今回の参加者は私も含め5人と少人数だ。ラインナップは①マルスモルテージ3+25、②アラン・ベアバーレイ、③タリスカーノース57°、④ティーリングウイスキー、⑤コルセア・キノアウイスキー、⑥マイナーケース・リベンジの6種類。

 ①はWWAでつい最近、“ベストブレンデッドモルト”に輝いた本坊酒造のヴァッテッドモルトで、3というのは山梨石和と鹿児島のそれぞれ3年物の原酒を意味している。25というのは、それを長野県の宮田村にできた信州マルス蒸留所に移し、さらに25年間熟成させたという意味だ。したがってトータルで28年物のヴァッテッドということになる。

 実は2011年9月に蒸留所を訪れた時に一度飲んでいたが、改めて飲んでみると、これが実にウマイ! あの時は3+25の意味もあまりよく分かっていなく、美味しいとは思ったが、それほど鮮烈な印象はもたなかった。フルーティでバランスに優れてはいたが、やや個性に乏しいという印象だった。一緒に飲んだ駒ヶ岳の原酒の個性が強すぎたせいかもしれない。しかし、改めてテイスティングしてみて、そのスゴさが分かった。実にフルーティで熟成感があり、うっとりするような旨さがある。これで、この値段なら買いである。実際WWA受賞の報道以来、売り切れ続出であるらしい。

 ②はベア大麦を使ったアランの8年物で、しばしミシェル・クーブラの「シングル・シングル・ベアバーレイ」の話で盛り上がった。我々がベア大麦のことを知ったのは、ミシェル・クーブラのボトルからで、今は完全な幻で、まずお目にかかることはない。そのクーブラのボトルはシェリーが効きすぎていて、ベア大麦の特徴が分からなかったが、アランのベア大麦は、穀物の個性がよく表れている。ちょっとライ麦のようなスパイシーでドライ、オイリーな風味があり、これはこれで個性的で面白い!

 ③はいわずと知れたタリスカーのノース57°だ。蒸留所の北緯にちなんで、57%でボトリングされたもの。色も濃く、かすかにシェリー樽風味のようなものも感じられるのだが…。

 ④はアイリッシュブレンデッドのティーリング。もちろん、クーリーを創業したジョン・ティーリングさんの息子、ジャック・ティーリングさんが始めたボトラーズ会社で、これは、そのフラッグシップとなるもの。ティーリングのロゴもボトルも、さらにラベルも実にセンスが良く、ひとことで言えば、カッコ良いウイスキーである。わざわざ、ティーリング氏が贈ってくれたものだ。

 ⑤、⑥はアメリカンで、⑤はケンタッキーのボーリンググリーンにあるコルセア蒸留所の、ある意味、最先端を行くボトルだ。キノアというのは南米原産の穀物(アカザ科)のことで、アメリカでは健康食、ダイエット食として人気急上昇中だという。NASAが、「21世紀の宇宙食として注目している」ともいわれ、そのキノアを20%、大麦麦芽を80%使った、その名もキノアウイスキーだ。味は…何とも言いがたいが、その先進性、アイデアは抜群といわねばならない。アメリカのクラフトディスティラリーの、1つの典型が、このコルセア蒸留所だ。ちなみにコルセアとは『海賊』のことで、我々プラモデル世代には、米軍の戦闘機の名前としても懐かしい。

 ⑥は、さらにその上を行く、今のアメリカのクラフト蒸留所を象徴するボトルで、これはウイスキーではなく『ムーンシャイン』、つまりかつての密造酒を再現したものだ。マイナーケースとはビーム家3代目のマイナー・ケース・ビームのことで、ずいぶんマイナーなケースの名前だが、これは本名だそうだ。本家のビーム家と違って、しばらく蒸留業から離れていたので、そのリベンジ(復讐)の意味で名付けられたという。

 ムーンシャインということで糖化はやらず、原料にそのものズバリの砂糖を使っている。砂糖50%に、コーンの粉50%、ポットスチルによる1回蒸留で、度数は40%だ。それをホワイトオークの樽で数ヵ月間熟成させている。味は、何と形容してよいのかわからないほど異端だ…。その後、そのスピリッツ版(熟成ナシ)のシュガーシャインもテイスティングしたが、この手のウイスキー、スピリッツが続々と登場しているというのが、アメリカの現状だ。これから先、いったいどうなることやら。

 ということで、4時前に終了し、その後再びスコ文研オフィスにもどって、4月14日のウイスキープロフェッショナル集中対策講座、ワールド、通信のミーティング。とにかく、ミーティング、ミーティングである。

通信テイスティング

タウンブランチ

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