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  10 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「アメリカ行きと究極のモルトマラソン」
 以前から考えていたことではあったが、いよいよアメリカ取材について具体的にスケジュール調整を行う。当初は、せっかく行くのだからと、マイクロディスティラリーも含め、2週間近くかけて回ろうと思っていたが、とてもそんな時間が捻出できそうにない。ということで3月20日から10日間ほど、ケンタッキーを中心に回ることにした。そのチケット手配などを開始。

 午前中は、それらの下調べや校正をして、午後スコ文研。7時から再び、「究極のモルトマラソン」の木曜コース。これは希望者が多かったため、火曜コースと分けたもので、内容は火曜と同じ。受講生にとっては、火・木の選択ができることになった。

 このモルトマラソンは大全のすべてのシングルモルトをアルファベット順に飲もうというもので、そのために各蒸留所のスペック表、歴史年表も資料として用意した(Malt Whisky Year Bookから)。それをファイルにして、各受講生に資料として配っている。全蒸留所を制覇するには2年半近くかかるが、その頃には分厚い、そして貴重な資料が完成することになる。やる方の我々にとっても、たえず新しい情報をチェックすることができ、ありがたいといえば、ありがたい。

 アルファベット順に飲んでいくということは、エリアもバラバラ、普段はバーで選ばないものも多い。ということで、毎回、1つか2つのテーマを選び(その回に飲む蒸留所に関連するもの)、それについて解説も行うことにした。

 初回の今回は、主にスペック表の仕込み、ワンバッチの麦芽の意味するところ、1トン当たりの麦芽で、どれくらいの麦汁を抽出するのか、マッシュタンの仕込み、発酵槽の材質の違いによる酒質、イースト菌の種類と歴史、そしてスチルの加熱方法、冷却装置の違いについて講義した。まずはスペック表の意味するところを知っておいてもらわないといけないからだ。

 テイスティングは①オーヘントッシャン・クラシック(OB)、②アルタベーン(GM)、③アードモア(GM)、④アバフェルディ21年シングルカスク(OB)、⑤アベラワー・ブラックアダー・ロウカスク(BB)、⑥アードベッグ・ブラスダ(OB)、⑦同SWRC奈良支部オリジナル2000(PB)の7種類。これはアルファベット順ではなく、テイスティングの一般的なルールで決めたものだ。

 ①はもちろん3回蒸留で、これはアメリカンホワイトオークのバーボン樽熟成。非常にライトボディだが、バランスは悪くない。間違いなく食前酒向きだ。②はGMのコニッサーズチョイス。46%だが、①と比べるとはるかにリッチでフローラル&フルーティ。さすがにスペイサイドモルトである。

 ③もGMだが、こちらはGMのみがボトリングできる“ディスティラリーラベル”。いわば準オフィシャルかもしれない。しかし風味は現行のオフィシャルものより、はるかに美味! 43%だが、リッチで厚みがあり、そしてピーティーでスモーキーだ。現行のOBはラフロイグで使ったクォーターカスクを持ってきて、それでウッドフィニッシュを行っているが、それよりこちらのGMのほうが、スモーキーで甘みもしっかりしている。まったくのノーマークだが、秀逸なモルトである。

 ④は今回の目玉ともいうべき、貴重なシングルカスクのアバフェルディ!! ブランドアンバサダーのスティーブンが、わざわざ蒸留所から、私宛に贈ってくれたものだ。ラベルに蜜蜂が描かれているのは、アバフェルディの最大の特徴であるハニー、スィートを表している。もちろん、日本にはまったく入っていない。

 ⑤は「ウイスキートーク2012博多」のブラックアダーセミナーで選ばれた1本で、ロウカスクのアベラワー。やや樽の風味が出すぎていて、バランスに欠ける…。⑥は蒸留後のフェノール値が8ppmという、比較的ライトなアードベッグ。8ppmに引っかけて、「午後8時(8pm)に飲んでほしい」と、ビル・ラムズデン氏がジョークを言っていたが、甘く、ライトな食前酒向きのアードベッグだ。

 ⑦はスコ文研の奈良支部が詰めたオリジナルのアードベッグ。熟成6年ということは、オフィシャルの「ベリーヤング」とほぼ同じだが、若いアードベッグ特有の荒々しさがあり、これはこれで楽しめる。アイラの刺激を求める人には、うってつけかもしれない。

 結局モルトマラソンは予定を20分近くオーバーし終了。その後、2月1日から新しく入るスタッフのNさんをまじえて5人で、広尾駅近くの焼鳥屋に行き、角のハイボール、焼鳥…。これまた、ある意味、定番コースである。

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