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  10 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「ラダックの農村に嫁いだ日本人女性」
 ほんとうに久しぶりの休日(3ヵ月ぶり…)だったので、のんびりしようかとも思ったが、疲れた体にムチ打って朝からショッピング。鎌倉に引っ越す前に6年ほど住んでいた辻堂駅前にできた“テラスモール湘南”。巨大なショッピングモールで、イギリスに住んでいたころによく行っていたショッピングモールを思い出してしまった。

 結局モールには2時過ぎまでいて、夕方帰宅。『Whisky World』の特集でシネマとウイスキーをやっているので、その関連のDVDを鑑賞。その後、テレビ東京の“秘境に嫁いだ日本人妻”という番組を見る。昼間の予告で、ラダック地方が出ていたからだ。

 その女性はラダックのストック村の農村に嫁いだ人で、久しぶりにラダックを画面で見て懐かしかった。冒頭でチラッとレーの街が出てきたが、商店がやたらと多くなったのと、インド人(おそらくカシミール人)が多くなっているのに驚いた。ただしバザールは一瞬で、その後はレーから20kmほど離れたストック村へ。たしかインダスの左岸沿いの村だったと思ったが、スピトックとストックがごっちゃになっていて記憶が定かでない。ストック村はレーの正面、ストックカングリ(山)の麓の村だと思ったのだが。最後に訪れてからすでに32年! 記憶があいまいになるのは仕方がないかもしれない。

 冒頭、麦の刈り入れのシーンが映っていたが、あれがネーと呼ぶ六条大麦だ。ツァンパという麦こがしにする。さらにチャンというドブロクも大麦から造る。当時は酒造りに精通していなかったが、今だったら、もっと詳細に知ることができるのにと、ちょっと残念。実はラダックのチャンは、世界でも稀な造り方をしている酒なのだ。

 それにしても、昔は絶対にタブーだったラダックの一妻多夫について紹介されているのにビックリした。その日本人女性が嫁いだ家の義父母が一妻多夫だという。70年代後半、私はラダックのさらに奥地、ザンスカールにて一妻多夫の調査をしたことがあるが、村人はなかなか言いたがらなかったものだ。当時、ラダックではほとんど存在しないと言われたのだが…。

 テレビを見ていたら、電気もガスも水道も、もちろん風呂もシャワーも何もない、ザンスカールの生活が思い出されてきた。それに比べればストック村の生活は、はるかにマシと思えるが、普通の日本人から見たら、相当につらい秘境での生活ということになるのだろう。

 だが、これだけは言えるが、あれ以上に乾燥して、ある意味“清潔な”世界はどこにもないかもしれない。標高が高い(3600メートル)せいもあるが、ラダック・ザンスカールの空以上に澄んだ空は、それ以前もそれ以後も、一度も見たことがない。昼間でも星が見える程の、まるで宇宙の底にいて天空を見上げているかのような、恐ろしいほどの濃紺の空なのだ。

 スコ文研の特別顧問、藤原新也さんはかつて、「ラダックの空を見て以来、どこに行っても空が濁って見えるという宿業を背負ってしまった」と、書いていた。いつか再びラダックに行きたいと、この頃よく思っている。
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