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  06 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「アメリカとスウェーデンのマイクロ蒸留所…」
 朝から『Whisky World』のテイスティングボトルの解説原稿。ボトラーズや海外から直接取り寄せているものも多いため、毎回そのデータ集めが大変である。今回アメリカンは珍しく4本だったが、そのうちの1本はバッファロートレースの例の「トルネード・サヴァイビング」。竜巻に遭ってウェアハウスCの屋根が吹き飛び、2ヵ月近く野ざらしになっていた樽からのボトリングだ。はたして直射日光が当たった樽は、どうなのだろう…。

 もう1つ興味深いボトルはコルティア・アーティザンというマイクロブリュワリー、マイクロディスティラリーが造るアメリカン・シングルモルトウイスキー。元々2008年にテネシーのナッシュビルに創業した会社だが、当時テネシーではウイスキー造りが許可されなかったため、お隣のケンタッキー州、ボーリンググリーンに小さな蒸留所を建てた。

 ところが2年後にテネシーの法律が変わって、テネシーでも造れることになり、ナッシュビルにブリュワリー兼蒸留所を建てたのだ。したがってウイスキーはナッシュビルで仕込み、発酵(ここまではビールと同じやり方、つまりビール用モロミ…)を行い、さらに銅製ポットスチルで初留を行う。その後ローワインをケンタッキーに運び、ボーリンググリーンで再留を行うという、何とも複雑でユニークなシステムだ。

 しかも、今回テイスティングするボトルはピートだけでなく、桜とブナの木のチップでも燻蒸を行い、それにビールで使うチョコレートモルトを加えているという。そのため、“トリプルスモーク”という名前が付けられているが、はたしてその味は…。

 そんなことを調べながら原稿6枚を書き、午後スコ文研。先月行われた「ウイスキーエキスパート試験」の合否発表通知を発送。11月18日(日)の長野屋試飲会のボトルの準備、大阪から送られてきたワールドのレイアウトの確認・修整等に忙殺される。

 その後、午後5時にスコ文研静岡支部のIさん、Nさんが来社。先月アイラ、スコットランドに行った際に、クリスティーナから預った土産等を渡してくれる。さらにNさんはその後スウェーデンに飛び、マックミラ、ボックスの2つの蒸留所を見て回ったとか。その画像も見せてもらったが、これが実に興味深い。

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 マックミラはすでに日本にもボトルが入っていたが、ボックスについては、ほとんどその詳細がわかっていない。創業は2010年と、まだ2年しか経っていなく、ウイスキーと呼べる製品は未発売だが、そのサンプル2種をテイスティングさせてもらった。1つはノンピートで、もう1つはヘビリーピート。ピートのほうはフェノール値43ppmで、しかもハンガリアンオークという、ハンガリー産のオーク樽で熟成させている、1年物のサンプルだ(度数62.5%)。

 ハンガリアンオークについては初めて知ったが、明らかにクエルクス・ロブールなどのヨーロピアンオークとは異なる。どちらかというと、ホワイトオーク、あるいはミズナラなどに近い気がするのだが。

 そういえばマックミラもスウェーデン産オークの樽で熟成させているものがあり、これは非常に希少だという。しかも、先のアメリカンと同じように麦芽にピートだけでなく、ジュニパーなど他の燻材も使って、独自のフレーバーを与えているのだ。

 マイクロディスティラリー・ブームというのは、単に小さな蒸留所が世界中に誕生しているということではなく、造りそのものにも、ある種の変化、革新性をもたらしているのかもしれない。…マイクロ恐るべし、というか、改めてマイクロディスティラリーの取材の必要性を感じた一日となった。
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