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  09 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「ラフロイグのピートとビール検定」
 土、日とも『ウイスキー通信』の校正、原稿執筆作業。涼しくなったのは嬉しいのだが、一気に10℃以上も温度が下がり、体がついていかない…。

 マクドゥーガル・クロニクルは次号で連載11回目。1972年から73年頃にかけてのアイラ島の生活、ラフロイグについて述べていて、実に興味深いものがある。当時はまだDCLがポートエレン、ラガヴーリン、カリラと3つの蒸留所を操業していた時代で、マクドゥーガルさんがラフロイグにいた1973年に、ポートエレンに巨大な製麦所が完成している。

 ラフロイグが自家製麦でまかなえた麦芽は30%程度(今は15%)。残りは本土のモルトスターから仕入れていたようだが、やがてポートエレン麦芽を使うようになった。ただ完成当初はDCLのやり方に反発して、ラフロイグだけでなく、他のアイラの蒸留所もポートエレンからは買わなかったという。その理由、経緯については、今回のところで述べられている…。

 ラフロイグのピートについては、一度マシーンを導入して、マシンカットを行ったが、従来のハンドカットのものと質が違ったので、すぐにハンドカットのピートにもどしたという。生産量の増大にともなってピートも倍くらい必要になったので、マクリーホテルと交渉し、新たなピート湿原を購入したとある。さらに興味深いのは、マクリーから海岸沿いにボウモアのほうに北上するにつれ、そのピートには硫黄分が混入し、できるウイスキーの中に、サルファリーな風味がつくとしている。その点、ラフロイグのピートは、この硫黄分が少ないというのだ。

 ピートによってサルファリーな香味がつく…。これは本当だろうか。ピートによって、できあがるウイスキーの香味に影響を与えるというのは、近年の研究で徐々に明らかにされているが、サルファリーというのは、どういうことだろう…。そういうことも含めて、この『マクドゥーガル・クロニクル』は実に興味深いものがあるのだ。

 夜、久しぶりに鎌倉に帰ってテレビを見ていたら、「ビール検定」のニュースを大々的に取り上げていた。サッポロビールが主催するビール検定で、『Whisky World』などでも、この春くらいに紹介したが、その試験が実際に行われたのだ。

 それにしても…という気がしないでもない。一企業が冠となってやるビール検定が、これほど話題になるということに少し違和感を覚える。この手の検定は、中立的な団体がやることに意味があると思うのだが。

 それに対して、我々の「シングルモルト検定」はと考えると、少々複雑なものがある…。うーん、やっぱり、世の中…。それともビールとウイスキーの違いだろうか。思わず夕食のビールが、ホロ苦いものとなってしまった。いつの日かと思っているが、そんな日は来るのだろうか。
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