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  10 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「“酒場紀行”で押上、鐘ヶ淵、スカイツリー」
 朝6時半に起き、地下鉄半蔵門線で渋谷から押上、東京スカイツリー駅に10時半に行き、スタッフ・ライターのKさん、カメラマンのW君と合流。『Whisky World』のOctober号で久々の「酒場紀行」。今回はスカイツリーとその周辺を廻ることにした。

 まずは開店と同時にソラマチ7Fの「世界のビール博物館」。ここは150種の世界のビールが味わえる大型のビアレストランで、イギリス、アメリカ、チェコ、ドイツ、ベルギーのバー(パブ)カウンターを再現したコーナーもあり、常時30種以上のドラフトビールも揃っている。

 店長おススメの英国エール「エンデバー」、さらにドイツのヴァイツェン、チェコのピルスナー、ベルギーの「ブルージュ・ゾット」などを飲みながら、これもおススメ料理のドイツソーセージ3種盛り、ムール貝のビール蒸しをいただく。「エンデバー」は北ヨークシャーのクロプトン・ブリュワリーがつくるエールビールで、初めて飲むビールだった。エンデバーとは、もちろんキャプテン・クックのあのエンデバー号のこと。スペースシャトルのそれではない。

 その後、同じソラマチの5Fにある「問屋国分」に行き、奥の小さなレストランで、利き酒セットを試す。これは国分の缶つまにアレンジを加えた簡単料理2種と、2種類の日本酒の利き酒がセットになったもの。これで600円は安い。注文したのはマッシュポテトに福神漬を入れ、それを最中の外皮で包んだものと、ベーコンのフライ。どちらも意外性があり美味。日本酒は「勘兵衛」と、江戸時代の酒を再現した、ややシェリーに似た甘い酒の2種。

 腹も一杯になったところで、押上駅周辺の商店街を散策。北十間川でクルーズをやっていたのをテレビで観たが、残念なことに、そのクルーズは昨日で終了。恒常的にやっているわけではないそうだ。時間が余ったので、タクシーで鐘ヶ淵駅に移動。その駅前商店街が「酎ハイ街道」として有名だと、これもやはりテレビでやっていたが、地元の人に聞くと、そんなことはないという。テレビ東京の“アド街”だったが、決して居酒屋は多くない。

 かつて鐘ヶ淵には鐘紡の工場があり、多くの職工さんが働いていた。その職工さんたちが飲んでいたのが焼酎で、やがて酎ハイが地元の居酒屋で定番となったということらしい。

 ここで思わず、面白い話を聞いた。鐘ヶ淵の通りを一本入ったところが、かの有名な玉の井で、昔は多くの遊郭があった。文豪・永井荷風の例の「濹東綺譚」の舞台である。予定にはなかったが、そんな話を聞いた以上、行くしかない…。玉の井消滅したのは昭和33年、いわゆる赤線廃止条例・売防法が成立してからである。当時の面影はほとんど残っていないが、江戸から明治、昭和の風情を感じる歴史の旅となった。

 ということで再び鐘ヶ淵商店街にもどり、“酎ハイ街道”にある、居酒屋の「亀屋」に5時半の開店と同時に飛びこむ。ここで名物(?)の酎ハイと、メニューで見つけた、すいとんを注文。酎ハイは地元の吾妻タンサンと宝の純を使ったもので、氷を入れないハイボールだ。グラスにレモン一切れを入れ、その上に炭酸を注ぎ、炭酸の上に純をフロートしてゆく。まったりとしていて、妙にノスタルジーを感じる酎ハイだ。

 すいとんというのも珍しい。昭和29年生まれの私には、小さい頃すいとんを食べたという記憶はないが、戦前・戦中の人にとってはソウルフードかもしれない。大学探検部時代にチベットを旅した時、毎日の主食がチベット風すいとんで、それこそ1年近く食べ続けた。日本に帰っても、一人暮らしのアパートでやってみたが、「亀屋」のすいとんは、それを思い出させてくれた。チベットと違って、もちろん日本のすいとんは美味! 居酒屋メニューの定番にしてもらいたいほどだ。

(後半、つづき…)

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