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  08 ,2020

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「オリジナルアブサン造りと坊津の鑑真像」
 水・木と宮崎を取材した後、金曜日は朝8時15分の在来線特急に乗り、宮崎から鹿児島中央駅へ。宮崎と鹿児島はもっと近い距離かと思っていたが、特急で2時間以上もかかり驚いてしまう。これなら鹿児島から博多へ行くほうが早いことになる。九州の地理や鉄道の状況が分かっていないと、移動は大変だ。

 鹿児島中央駅には10時半すぎに着いて、そこから迎えにきてくれた佐多宗二商店のNさんの車で一路佐多さんのところへ。鹿児島へは、このところ年に2~3回来ている計算になる。今回の目的は4月12日に開かれる「ジャパニーズ・ウイスキーフェスティバル2020」、通称JWFのオリジナルボトルのためで、フェス限定となるオリジナル・アブサン造りのためだった。

 あらかじめレシピについては何度かメール等で打ち合わせてあったが、佐多さんの出迎えを受け、さっそく赤屋根製造所に行き、アブサンに使うフレッシュなニガヨモギ、乾燥ニガヨモギ、八角、山椒などを見せてもらう。すでにいくつかの原酒を仕込んであったが、それに新しくボタニカルを足し、さらに柚子のスピリッツも加え、そして再びアーノルドホルスタインのハイブリッドスチルで蒸留するという、大変、手間のかかるものだ。

 それら一連の作業の確認をした上で、実際に柚子のスピリッツ100リットルの蒸留をやらせてもらった。もちろんベーススピリッツは佐多さんのところの芋焼酎。つまり麹を使った日本の伝統のスピリッツで、これがジンやアブサンにも効いてくるというのが、佐多さんの持論だ。

 佐多さんのスピリッツ造りの師匠はフランスのレジェンド、ジャン・ポール・メッテ氏で、いわばメッテ仕込みの西洋スタイルのスピリッツと、和のテイストをミックスした究極のハイブリッドスピリッツということになる。アブサンについては2年前に郡上八幡の辰巳さんのところでも造らせてもらったが、佐多さんのところは使うボタニカル、蒸留の回数など、はるかに手間がかかっている。完成するのは、もう少し先だが、今から出来上がるのが楽しみだ。

 結局、3時間近く作業をして、その後無理を言って、坊津の秋目まで車で案内してもらうことにした。坊津は鑑真和上が6回目の渡航にして、ついに上陸を果たした地で、前々から行ってみたいと思っていた。佐多さんのところから枕崎を抜けて1時間近くかかり、最後はとんでもない山道を登り下りして、ようやくたどり着くことができたが、これで長年の宿題を、もうひとつやり終えた気がした。鑑真和上は、その時66歳。まさに今の私と同じ歳だ。日本に仏教の戒律を伝えるために渡航を決意して12年。すでに両眼の視力を失っていた。その鑑真がついに日本の地を踏んだのが、坊津の秋目海岸だったのだ。

 実は秋目の海岸は007の『007は2度死ぬ』のロケ地になった場所で、鑑真記念館の前には、その記念碑も建っている。そこにはショーン・コネリー、そして丹波哲郎のサインが彫られている。その時、ボンドガールを務めたのは浜美枝で、まさか鑑真もここで水着の美女が登場するとは夢にも思わなかっただろう。しばし、秋目の浜を眺めながら、そんなことにも想いを馳せていた…。

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