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  07 ,2019

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「萌木の前に思うこと…」

 このところ日本の小さな蒸留所(?)のウイスキーが相次いで海外のコンペで賞を取ったというニュースが流れているが、中にはどう見てもジャパニーズウイスキーでないものが入っているとしか思えないものがある。さらに全国あちこちに新しい蒸留所が建設されるという話が新聞、ネット上で流れている。しかし、中にはこれはどうか、というものもある。

 私の故郷である佐渡にも蒸留所ができると日経新聞が報じていたが、そこに書かれていることが本当なら、少々危惧を抱かざるを得ない気がする。詳細は分からないので、今の段階では何ともいえないが、報じられているような金額ではウイスキーの蒸留所はつくれないと思うからだ。バルクでスコッチなどを買ってきて、混ぜるだけならもちろんできる。しかし、それをジャパニーズと言っていいかどうか…。

 それもあって、緊急でジャパニーズウイスキーの定義について再び動き出したいと思っている。私たちが当時の『ウイスキーワールド』『ウイスキー通信』、そして『コニサー倶楽部』で、ジャパニーズウイスキーの定義を決めようと動き出したのは3年前の夏のことだった。その時にほぼ、完璧なたたき台は作ってある。3年経った現在でも、あの時私たちが提唱したジャパニーズウイスキーの定義を超えるものはでてこない。あれがベストだと、今でも信じて疑わない。

 問題は、あの後、私やウイ文研にそれを実行する時間や人員、資金がまったくなかったことだ。金はどうでもいい。現在のウイ文研で十分できる。問題は時間と人員で、あの頃、私たちは『ウイスキーガロア』の創刊、フェスの拡大、そしてウイスキー&スピリッツコンペのことも視野に入っていて、まったく時間がなかった。今と違ってスタッフの数は半分以下で、編集も1人というありさまだった。

 この3年でスタッフは倍の15人となり、東京フェスの2日開催、ガロアの刊行、コンペの開催もやってきた。唯一、できなかったのが、ジャパニーズウイスキーの定義だ。もちろん、これはウイ文研だけでやれることではない。ということであの時は洋酒酒造組合におまかせしたが、3年経ってできていないということは、そろそろ考え直さなければいけないということかもしれない。

 コンペも定義も2020年の東京オリンピックの年までにと思っていたが、コンペはどうにか間に合わせることができた。今度はジャパニーズの定義である。3年前にも言ったことだが、どんなウイスキーを混ぜたっていい。それを日本でつくりたいというのも当然である。しかし、ジャパニーズウイスキーを名乗る(ラベルに謳う、ジャパニーズウイスキーとしてコンペに出品する)場合には、少なくとも混ぜられたウイスキーは、すべて日本で糖化・発酵・蒸留・熟成させたものでなければならないと思っている。

 世界5大ウイスキーで、いわば原産地呼称がないのは日本だけだ。いや5大ウイスキーだけでなく、このところ新興著しい台湾にだって、インドにだって、ウイスキーのレギュレーションはあるのだ。それがないのは日本だけということは、多くの人が知るべきである。多くの外国人が、すでにどこか変だと思っているし、『日本のウイスキーは必ずしも日本産ウイスキーではない』なんて、記事も書かれているくらいだ。

 この3年、あまりの仕事の多さで忙殺されていたが、それは言い訳でしかない。私の頭の片隅には、いつもこの問題があった。できれば、私にかわって誰か他の人がやってくれたらと思っていたが、3年待って不可能なら、やはり私たちがやるしかないのだろう。少なくとも、その責任の一端は私にもあると思っているからだ。コンペでは、すでに「ワールドウイスキー」というカテゴリーで、心あるメーカーの日本のウイスキーには出品してもらった。コンペの第1回目が終わったことで、ついに機は熟したというべきだろう。


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