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  10 ,2018

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「イギリスの湖水地方について」

 3連休が明けても原稿とその校正作業が続いているが、今日ガロアのぶらり旅のところのアブサンについてと、東京フェス関連のペンダーリンのは校正とタイトル、リード書き。原稿を書く作業というのは人にもよるだろうが、私の場合はまず本文を書いて、後からタイトル、リード、キャプションを入れる作業となる。そのたびに資料を読み直さないといけないという面倒なところはあるが、誌面になった状態(レイアウトが上がった状態)で、全体の空間を見ながら、文字を決めていきたいからだ。

 いわば画面の構成…。そのための画像選び、レイアウト・デザイン案の試行錯誤はギリギリまで続く。辰巳のアブサンも、ウェールズのペンダーリンも11月の東京フェス連動企画だが、そのミーティングもこのところ頻繁に行っている。セミナーの集客についても議題の1つで、ウェールズについてはガロアでも記事にしているが、もうひとつのレイクスについては、どこかで湖水地方のことを書かなければと思っていたが、そのスペースがない…。

 Lakes、Lake District(レイクス、レイクディストリクト)といっても日本ではピンとこないかもしれないが、イギリスやヨーロッパの人々にとって、この響きは絶大な効果をもっている。レイクス地方はイングランド最大の国立公園(ナショナルパーク)で、その面積は約2,300k㎡と東京都よりも広大である。湖水地方の名のとおり緑の牧草地と高い山、そして無数の湖が織りなす風景はイギリスいち、いや世界で最も美しい景観だと私は思っている。

 早くから自然保護、景観保護が叫ばれた土地で、1895年にはここでナショナルトラストが誕生している。トラストは世界最大の自然保護団体で、ここの最大のポリシーは、保護を必要とする土地を国に訴えるのではなく、自分たちで所有してしまうことである。そのためには土地や建物を買収する巨額の資金が要るが、設立当初、それをになったのがビアトリクス・ポターで、その資金源だったのが、彼女が創ったピーターラビットの絵本の印税だったのだ。

 ポターが生涯に描いた絵本は全26冊。少なくとも30ヶ国以上の言語に訳され、その総出版部数は3億冊近くという。印税が仮に1冊100円としても300億円になる。そのすべてを生前、そして死後にナショナルトラストに寄付したのだ。現在、湖水地方は世界遺産に認定されているが、その総面積の4分の1以上は、ナショナルトラストが所有していて、未来永劫にわたって開発の手から守られている。ポターが絵本に描いたとおりの世界が、100年近く経った今も、そのままの姿で存在しているのだ。

 そんな湖水地方の北部、『りすのナトキンのはなし』の舞台となったダーウェント湖のそばにオープンしたのが、今回のフェスでセミナーをやるレイクス蒸留所だ。もちろん湖水地方唯一の蒸留所である。ダーウェント湖から流れでるダーウェント川の畔に立つ蒸留所で、このダーウェント川を下ってゆくと、やがてコッカーマウスの町に出る。ここは詩人ワーズワースの生まれ故郷でもある。

 ウェールズのペンダーリンには“アイコンズ・オブ・ウェールズ”というシリーズがあり、ウェールズを代表する詩人のディラン・トーマスや、ラグビーの名選手、ガレス・エドワーズをラベルにあしらったものがあるが、ぜひレイクスでもワーズワースやポター、画家のターナーなど、ゆかりの人をあしらったボトルがあれば楽しいと思うのだが。

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