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  07 ,2018

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「ポンべ酵母と東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」

 ガロア8号(4月27日発行予定)の入稿作業が秒読みに入っているが、すでにそれと並行して9号(7月上旬予定)の取材・編集作業がスタートしていて、昨日月曜日はバーボン・アメリカン特集のボトル約60本の撮影が行われる。ガロアとしては1年ぶりのアメリカンウイスキー特集だ。

 そういえば8号から私の新しいコラムをスタートさせたが、そのコラムで「ザ・テイスティング」で取り上げている24本の中から、9種類のボトルを私なりに試飲し、テイスターと同じに100点満点で採点した。実際にコラムで書いているのは、そのうちの4種類だが、1つ面白いボトルがあった。

 それはディアジオが毎年リリースしているスペシャルリリースの1本で、グレンエルギンの18年物。ボトル解説の原稿を書いている時に原文の説明を読んでいて、ビックリしてしまった。それは、これには通常のディスティラリー酵母のほかに、「ポンべ(Pombe)酵母が使われているというのだ。

 ポンべはアフリカ南部でつくられているドブロクのような酒で、そもそもスワヒリ語で「酒」を意味する。ミレット(雑穀)などを原料としたビールのような酒で、私も南アフリカ、ジンバブエで飲んだことがある。その時の原料はモロコシだといっていたが、大きなゴミバケツのような容器の中で発酵させ、みんなで回し飲みをする。

 南アはヨハネスブルグの郊外の、かつての黒人居住区、ソウェトの怪しげなもぐり酒場で飲んだものだったが、やや酸味のある濁った酒だった。ジンバブエでは首都ブラワヨの下町のライブハウス、そして農村の集会場でも飲んだか、こちらも相当に怪しい。

 そのポンべ酒で使われるのがポンべ酵母で、酒造りで使われる一般的な酵母が出芽酵母で学名がサッカロミセス・セレビシエであるのに対し、ポンべ酵母は分裂酵母で、学名はシゾサッカロミセス・ポンべというのだとか。そんな酵母があることも、南アやジンバブエで飲んだドブロクにそんな酵母が使われていたことも、まったく知らなかったが、なぜスコッチの、それもグレンエルギンでそれを使用したのだろうか・・・。次回行ったときにぜひ聞いてみたいと思っている。

 ということとは関係なく、いよいよ来年3月に行う「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション」が、動きだすことになった。詳細はこれからだが、ウイ文研が中心となって、日本で初めて本格的なウイスキーとスピリッツの酒類コンペティションをやりたいと思っている。

 私が台湾の高雄市で開かれたアジア初のスピリッツコンペティション(ベルギーの会社の主催)に、審査員として参加して、今年で丸5年。その間、想いをあたためてきたが、ようやくその時がきたと思っている。寿屋を創業した鳥井信治郎は1929年に国産第1号の本格ウイスキー「白札」を出す時、こんなキャッチーコピーを付けている。「醒めよ人!舶来盲信の時代は去れり」。私の想いも同じである。

 海外の酒類コンペはますます盛んだが、日本人が、日本人の味覚でやった酒類コンペというのはほとんどない。ジャパニーズウイスキーと同じように、繊細な味覚と、高度な知識を持つ日本のウイスキー、スピリッツの愛好家やプロが、世界のウイスキーやスピリッツを評価したらどうなるのか。私自身がそれを知りたいというのが、最大の動機かもしれない。


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