2
3
4
5
6
7
8
10
12
13
14
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
  10 ,2017

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

検索フォーム
QRコード
QR

 

「金子ゴールデンと木内酒造の新しい蒸留所」

 『ウイスキーガロア』第3号の最後の取材で、茨城県の木内酒造へ行く。今年1月の取材以来、5ヶ月ぶりだ。今回はウイスキーというより日本酒、ビール、レストラン・・・。現在の木内酒造の様々な取り組みについて聞くためだった。

 とはいってもウイスキーガロアなので、今木内さんが計画している新しい蒸留所の話しにどうしてもなってしまう。まだ詳細は発表できないということだったが、木内さんは取材当日にスコットランドから帰国したばかり。朝成田について、そのまま間に合わせるためにもどってきたという。

 もちろんスコットランドに行っていたのは蒸留設備の発注のため。これは書いてもいいということだったが、フォーサイスに12000リットルサイズのスチル2基を発注してきたという。12000リットルといえば、もはやクラフトとは言えないようなサイズかもしれない。サイズ的にいえば、年間20~30万リットルくらい生産できるだろう。

 もうひとつ、今回一番感動したのは収穫の時期を迎えた金子ゴールデンという大麦畑を見ることができたことだ。水郡線のローカル列車に乗って水戸から木内酒造のある菅谷のほうに向う途中、車窓から黄金色の麦畑がところどころに見えていた。

 もちろん、すべてが金子ゴールデンではないが、茨城のこんなところで大麦が栽培されているのかと、その時はそう思っていた。しかし実際に木内さんに言われて行ってみると、そこには見事なまでの金子ゴールデンが風に穂をゆらしている。

 金子ゴールデンは明治時代に日本に入ってきた二条大麦の流れをくむもので、練馬の金子さんという人が、実際に品種改良、育種したのだという。練馬ダイコンを作った、金子さんだという。

 それが北茨城のほうに広がり、一時は全国の二条大麦の27%は茨城産だったという。まさにそれは木内さんの子供時代の原風景・・・。しかし高度経済成長期に大麦栽培が廃れ、人々はその頃できた日立製作所に働きにいくようになる。

 その幻となった金子ゴールデンの種を発見し、今日のように育てたのが木内酒造で、もともとは「ニッポニア」などの常陸野ネストビール用だったという。今では年間100トン近くを農家に栽培してもらっていて、今後は、それをウイスキーにも使ってゆく・・・。

 その畑を実際見せてもらって一番驚いたのが、その穂の高さ。茎の長さが1メートル近くもあり、これでは風に弱いだろうとすぐに思ってしまう。しかし金子ゴールデンは秋蒔きの6月上旬に収穫なので、風の影響はあまり受けないのかもしれない。なぜなら日本の台風シーズンは夏から秋にかけてだからだ。

 もともと麦は米の裏作だと思っていたが、北茨城の二条大麦は表が(こんな言い方をするかどうか分からないが)麦で、裏が陸稲(おかぼ、もち米)だったという。ただし今は裏作は蕎麦だという。そういえば北茨城の蕎麦は有名で、木内酒造でも米蔵を改造したレストランで、この地元産の蕎麦を使った料理を出している。今の時期は地元のアスパラや、同じく大洗漁港などで取れるシラスを載せた季節メニューがあり、実際ランチにいただいたが絶品だ。

 いずれにしろ、来春オープン予定の木内酒造のウイスキー蒸留所が待ちどおしい。今の額田蒸留所と異なり、その時は別の名前になるという。もちろん、場所も額田とはまったく別の場所になるからだ。


170609_3.jpg


170609_2.jpg


170609_4.jpg


170609_1.jpg


スポンサーサイト



* ウイスキー文化研究所公式HP
* ウイスキー文化研究所公式twitter