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  09 ,2015

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

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「GNDとラグビーをテーマにした3種のウイスキー」

 先日アイリッシュウイスキーのスレーン城、ダンダルクについて書いたばかりだが、驚くべきニュースリリースが送られてきた。それはダンダルクのグレイト・ノーザン・ディスティラリー(GND)、日本語でグレイトノーザン蒸留所だが、ここがポットスチル3基を入れて、すでに蒸留を開始しているというニュースだった。

 ダンダルクはダブリンから北に車で2時間ほどの、北アイルランドとの国境に近い町である。ここからアイリッシュ海に突き出たクーリー半島ぞいに20分ほど走ると、クーリー蒸留所がある。クーリーは1987年にジョン・ティーリング氏が創業した蒸留所で、現在はビームサントリーが所有している。

 ティーリング氏がクーリーを売った金で買ったのが、ダンダルクのハープ醸造所の大きな建物。ここはギネスグループのビール工場で、アイリッシュラガーの「ハープ」というビールを造っていた。しかし、ギネスがすべての生産設備をダブリンの本社工場に集結させたため不要となり、売りに出ていたのだ。

 その広大な敷地と工場群を買ってティーリング氏が始めたのが、ウイスキービジネス。すでに3塔タイプの連続式蒸留機を導入して、8月からグレーンウイスキーの生産を開始していたが、1ヶ月と経たないうちにこんどは3基のポットスチルを導入し、モルトウイスキーの生産も開始したというのだ。

 その写真を見て驚いた。スコッチでは見たことがない、アイリッシュ伝統の巨大なスチルで、ラインアームとヘッドが特殊である。どこ製かわからないが、一見ビールの仕込釜のようにも見える。これでシングルモルト、ピーテッドモルト、そしてアイリッシュ伝統のピュアポット、最近の言い方ではシングルポットだが、その3種を造るとしている。

 つまりスチル2基を使って、麦芽100%でやればシングルモルトだし、その際にピート麦芽を使えば、スコッチ並みのスモーキーなモルトができる(クーリーでカネマラを造ったのはティーリング氏だ)。ノンピート麦芽と未発芽の大麦をミックスし、スチル3基で3回蒸留すれば、これがシングルポットスチルウイスキーだ。

 ティーリング氏の息子のジャックさんたちがダブリンに蒸留所をオープンしているが、そこも同じスタイルだ。

 GNDではポットスチルを使って年間1800万本、ケースにして15万ケースを生産し、グレーンウイスキーと合わせて5000万本、つまり年間420万ケースを生産できるという。これは現在アイリッシュとして断トツ1位をひた走るペルノのジェムソンに匹敵する規模だ。もちろん、蒸留所の規模はかなり違うが。それにしても、このところのアイリッシュの勢いは、とどまることを知らないかのようだ。

 というニュースに目を通しつつ、『ウイスキー通信』の原稿・校正、そして夕方にはデザイナーのIさんと打ち合わせ。さらに清里フェスの最終カクニンをして、その翌週の埼玉フェアのスタッフ表、物販、有料試飲などをミーティング。3日間、しかも10時から夜の9時までと続く。清里の翌週ということもあり、スタッフのやりくりに四苦八苦する。ボランティア募集といっているのは、そのためだ。

 フェスオリジナルの100mlボトルについても、2種類はつくってしまう。1つはラグビーワールドカップにちなんで、アイリッシュ(ブッシュミルズ、カネマラ)、ウェールズ(ペンデーリン)、イングリッシュ(セントジョージ)とスコッチをブレンドした、その名も“ホームユニオン”。実は普段は敵対している4つの国、イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズがラグビーでは合同チームを作ることがある。それがホームユニオンだ。アイリッシュは北のブッシュミルズと南のカネマラの2つを使っているのはラグビーの場合、アイルランドは北と南の合同チームで出てくることが伝統だからだ。

 もう1つは、やはりスコッチのモルトウイスキーだけをブレンドした、“マレーフィールド”、さらに、これはまだつくってはいないが、ジャパニーズとアメリカンをブレンドした“ニューアライアンズ”にしようと思っている。実際には10月12日(月)に、日本とアメリカは予選最終の戦いをするが・・・。まあラグビーを盛り上げようというフェアには、これくらいの遊び心があってもよいと思っている。ちなみにマレーフィールドはエジンバラにあるラグビー場で、ナショナルチームのホームグラウンド。ラグビーの聖地となっている。

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