FC2ブログ
3
8
9
10
11
15
21
22
25
26
27
28
  02 ,2013

プロフィール

mtsuchiya

現在、作家、ジャーナリスト、エッセイスト、ウイスキー評論家、日本初のウイスキー専門誌『Whisky Galore』(2017年2月創刊)の編集長として活躍中。2001年3月スコッチ文化研究所(現ウイスキー文化研究所)を設立。

検索フォーム
QRコード
QR

 

「長崎酒場紀行で長崎をブラブラ…」
 羽田発8時半の全日空便で長崎へ。長崎は死者299名を出した“長崎豪雨”の取材以来、実に30年振りのことだ。当時週刊誌の記者をしていた私は、東京の取材チームとしては水害後一番乗りを果たした。たまたま前日、神戸で取材していたため、朝イチの便で伊丹から福岡に飛ぶことができたのだ。もちろん長崎空港が閉鎖になっていたからで、福岡からはタクシーで長崎に入った…。あれからもう30年である。

 そんなことを考えながらバスで長崎市内へ。12時半に1件目の取材先である卓袱(しっぽく)料理の「坂本屋」。途中、土佐藩士の後藤象二郎邸跡を見つけたので、坂本竜馬と関係があるのかと思ったが、まったく関係はないという。個室に案内され、さっそく昼の卓袱料理を堪能。卓袱が丸いちゃぶ台のことで、独特の模様がもともとテーブルクロスに由来することも初めて知った。中国と西洋の2つの文化の融合である。

 料理はひれ椀に始まり、おしるこで終わる。甘い味付けが多いのも、当時砂糖が貴重だったからだ。そんな説明を聞きながらランチを食べ、その後タクシーで竜馬の亀山社中へ。長崎は本当に坂が多いが、亀山社中も狭い坂道の途中にある。行ってみて、本物の社中が思ったより小さい建物であることにびっくりした。『竜馬伝』などの大河ドラマに登場する社中は、もっと大きく、立派な建物だったイメージだが、実際は普通の民家に毛が生えたようなもの。中には竜馬のピストルや刀、ブーツなどが展示されているが、それもすべてレプリカである。

 これは後で知ったが、亀山とは「亀山焼」という陶器のことで、建物はその窯元だったとのこと。竜馬が長崎にやってきた頃には、亀山焼が廃れ、その廃屋を社中として利用したのだ。いずれにしろ、竜馬ファンとしては見逃せない場所だろう。私自身は熱烈な竜馬ファンというほどではないが、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』は青春時代の愛読書だった。以前、高知の取材の時は、わざわざタクシーを飛ばして桂浜の竜馬像を見に行ったくらいだ。これで高知と長崎という、竜馬ゆかりの地2つを訪ねたことになる。

 亀山社中から一度ホテルにチェックインし、そのまま今回の酒場紀行のメインであるグラバー園へ歩いて登る。もちろん、トーマス・グラバーのグラバー邸を見るためだ。31年前に一度旅行では来ていたが、その時はグラバーがスコットランド人であることも知らなかったし、まして自分が将来ウイスキーに関わるようになるとは思ってもみなかった。

 グラバーについては別の機会に譲りたいと思うが、これでグラバーの出身地アバディーンのグラバー屋敷と、長崎のグラバー邸の2つを訪れることができた。グラバー邸での大きな発見の1つは、裏庭にあった小さな建物で、ここで製茶が行われていたことを知ったことだ。長崎にグラバーがやって来たのは開港直後の1859年で、ジャーディン&マセソン商会の代理人としてだった。当時の対英貿易の1番の輸出品は、実はお茶である。グラバーも長崎でお茶を買い付け、それを船で福州に送り、そこからロンドンに向け輸出したのだろうか。日本では唯一となる、釜煎りで製茶する九州の八女茶が、その輸出品だったのかもしれない。

 その後、グラバー園の帰路の途中にあるカフェで幕末コーヒーというのを堪能。そこで亀山焼やコンプラ瓶などについても見せてもらった。これはまったく予定になかった店だが、こんな偶然の出会いがあるのも、『酒場紀行』の楽しみである。

 ということで、再びそこからスケジュール通りに戻り、ちゃんぽん・皿うどんを食べに“長崎一おいしい”という、中華の「紅灯記」へ。たっぷりと腹を満たした後で、ブラブラと町を歩き、ちょうど行われていたランタン祭りの会場へ。さらに酒場紀行の本来の目的(?)である、夜のバーへ繰り出すことに。今回のバーは思案橋、丸山周辺の「ストランド」、「ウェイバリー」、「NAGATA」の3軒。それについては3月30日発売の「Whisky World」に譲りたいと思う。乞うご期待である。

130228a.jpg
130228b.jpg
130228c.jpg
130228d.jpg
130228e.jpg
130228f.jpg
130228g.jpg
130228h.jpg
130228i.jpg
130228j.jpg



* ウイスキー文化研究所公式HP
* ウイスキー文化研究所公式twitter

スポンサーサイト